昨日の私をこえていく

「昨日の私より、1時間前、1分前、1秒前、そんな私より、もっといい自分になりたい!」 by キュアドリーム

スイートからスマイルへ

 スイートプリキュア♪が無事に最終回をむかえまして、いよいよスマイルプリキュア!がはじまります。プリキュア的新年度入りでございます。

 スイートプリキュア♪は、最後はよくまとまっていたと思います。きちんとした最終回ではありました。ピーちゃんを受け入れるというのは、音楽というテーマにそったものでしょうね。音楽は人の感情に訴えかけるものだから、喜怒哀楽があってはじめて音楽といえます。悲しい曲もまた音楽である。きれいにまとまりました。が、おわりよければすべてよし…とはなりませんよね。反省点が多い作品であることにかわりはないです(笑)

 友情と音楽をテーマにはじまりましたが、10月中旬ころのキュアミューズ登場あたりから家族愛というテーマが加わり、最終決戦では悲しみを乗りこえて笑顔でという、これからはじまるスマイルプリキュア!にもつながるようなお話しになっていました。どんどんテーマが追加されていったんですね。

 そのせいか、細かいところではおかしなことも少なくなかったです。たとえば、第1話のあの長いアバンタイトルを思い出しただけでも、アレアレ?ってなりませんか?洗脳されていたメフィストたちはともかく、アフロディテ様をはじめメイジャーランド側の反応が、前国王や三銃士に対するものとしては不自然でしょう。特に、アフロディテ様は本気で張り合っていたような。あれが失踪した夫である前国王に対する態度なんだろうか?まあ、細かいことはおいておきますが、へんなところは少なくなかったです。

 プリキュアシリーズの第1話というのは、これからはじまる物語のテーマや1年間の方向性が語られていることが多いです。フレッシュプリキュア!では4人目についてのヒントがいくつもありましたし、ミユキさんが釣りであることの暗示までありました。スイートプリキュア♪の第1話はアバンタイトルの尺が非常に長く、本来ならばここには大きな意味があったはずです。しかし、今となっては整合性が取れなくなっています。

 個人的な印象にすぎませんが、これは当初の計画から大幅な変更があったのではないでしょうか。そのしわ寄せがあちこちにいったということだと思います。昨年は東日本大震災がありました。すでに、スイートプリキュア♪の放送ははじまっていましたが、震災を受けてあらたに伝えたくなったメッセージを作品のテーマとして加えたのではないか、とにらんでいます。

 震災以降、人との絆が見直されるようになったのは記憶に新しいです。友情も人との絆ではありますが、もっとも基本的なものは家族との絆、家族愛です。途中からこれを作品のテーマとして加えたのではないでしょうか。10月中旬ころから急に家族愛がさけばれるようになったあたりに、あとから追加された感がうかがわれます。最初からの計画だったならば、もっと段階を経て家族愛の物語が描かれていたはずです。

 震災を受けて伝えたかったメッセージは、一応は作品で表現されていたと思います。しかし、途中追加では中途半端な印象をぬぐえません。なにをする場合でも、途中で方針をかえるとうまくいかないものです。友情と音楽というのはいいテーマだったと思いますし、このテーマでブレずに最後までつらぬき通してほしかった、というのが正直なところです。震災を受けて伝えたくなったことは、次回作にまわしてもよかったのではないでしょうか。

 そして、その次回作スマイルプリキュア!がはじまります。東映アニメおよび朝日放送両公式サイトも更新されています。「スマイル」「明るい未来」「まっすぐ突き進む」といったキーワードが散見され、震災からの復興を応援する意図がうかがえます。スイートプリキュア♪の最終決戦でも、「悲しみを乗りこえて笑顔で」といったことが言われていました。この最終決戦は、次回作への橋渡しの意味もあったのでしょうね。物語としては別のお話になるでしょうが、震災を受けてスイートで伝えたくなったメッセージはスマイルに引きつがれる。スイートからスマイルへ。そんな流れを頭に入れておくと、また違った一面が見えてくるのかもしれません。

 …などと、まじめに考え込んでいたらクサい文章になってしまった(汗)